釜山の「韓日銭湯フォーラム」に参加、金沢での銭湯山車巡行も無事終了しました。|せんとうとまちニュースレター vol.54
今号では、韓国・釜山で開催された「韓日銭湯フォーラム」への参加をはじめ、金沢での「銭湯山車巡行」、そして各地で広がる銭湯文化をめぐる取り組みをご紹介します。
国や地域が異なっても、銭湯は人々の日常や記憶を支え、地域のつながりを育む場として存在してきました。今回の釜山訪問では、日本と韓国の銭湯文化の共通点や違いを知るとともに、銭湯の未来を模索する仲間たちとの新たな出会いがありました。
引き続き、銭湯のあるまちなみの魅力を発信し、広めていく活動に力を注いでまいります。皆さまのご支援を心よりお願い申し上げます。
釜山の「韓日銭湯フォーラム」にせんとうとまちが登壇
4月25日(土)に釜山で開催された「韓日銭湯フォーラム」で、「せんとうとまち」の三文字昌也とサム・ホールデンが東京の銭湯文化や当団体の活動について発表しました。今回は、私たちにとっても、韓国の銭湯文化の共通点と違いを知り、現地で銭湯の存続に向けて活動している方々と交流する機会となりました。
フォーラムは、釜山の開港150周年を機に企画された韓日銭湯文化を比較する展示の関連イベントとして開かれました。会場には、両国の銭湯の特徴や歴史を解説するパネル展示のほか、湯上がりに飲む日本のラムネや韓国の乳酸菌ドリンク、桶などの風呂グッズが並べられていました。
企画を担ったのは、釜山のブランディング会社である「Sitebranding」。代表のモク・ジス氏は、利用客の減少や経営者の高齢化によって廃れつつある銭湯を盛り上げようと、数年前から会社として自主的に釜山の銭湯のブランディングや発信などに取り組んでいます。
同社が手がける様々な取り組みの中で特に興味を引くのは「家の前の銭湯(집앞목욕탕)」という雑誌です。創刊以来、これまでに9号まで発行が続いています。Sitebrandingの皆さんが2024年に雑誌の取材のために来日した際に、稲荷湯長屋で「せんとうとまち」の活動についてインタビューを受けたのが出会いのきっかけでした。釜山の街中の銭湯や温泉を紹介する記事のほか、東京の銭湯やサウナのトレンドを取り上げる特集号も組まれています。オーナーさんへのインタビューや写真で魅力を伝える試みは、私たちが3年間手がけてきた「せんとうとまち新聞」とも共通点が多くあります。
フォーラムでは、研究者で書籍『洗うということの歴史(씻는다는 것의 역사)』の著者であるイ・インヘ氏が朝鮮時代から日本統治時代、現代に至るまでの韓国の入浴文化の変遷をたどる発表を行い、日本統治時代に風呂屋が人権を主張する場所になった等、様々な歴史的エピソードが紹介されました。
Sitebrandingのモク氏は、取材を通じて見えてきた釜山の銭湯の現状や未来についての発表を行いました。釜山には街中の銭湯がまだ多く存在するのですが、若者の利用客が少なく、経営状況が厳しいところがほとんどです。その状況を受け、ランナーズ銭湯や湯上がりスペースの充実など、日本の銭湯やサウナの視察から得たアイデアを韓国の銭湯にも応用しようとする展望も紹介されました。また、多くの支援者の銭湯に対する情熱に支えられ、利益が出ない状況でも発信活動を続けている様子が伝わってきました。
今回の国外でのプレゼンテーションの機会を経て、今後も「せんとうとまち」の活動で蓄積してきたものを海外で紹介したり、国際文化交流の機会が増えることを期待しています。
釜山の銭湯レポート その1 「コブク湯」
上記フォーラムにあわせて、釜山市内の銭湯をご案内いただき、さまざまな銭湯を訪れて入浴してきました。このニュースレターでも、数回に分けてそのレポートをお届けしたいと思います。
釜山は港町として有名ですが、その地形は険しく、港からすぐ山があるような都市です。朝鮮戦争の戦火から逃げて多くの人が釜山に来たことで、第二次世界大戦後、釜山は人口急増に直面しますが、人々を受け入れる平地は限られていました。
このような経緯があり、山沿いの斜面には戦後開発された住宅がひしめいています。こうした場所に住む人々の生活を支えていたのが銭湯です。今回ご案内いただいた「コブク湯」も、まさに港から斜面を登っていった斜面地に面する銭湯です。この地形と立地が釜山の特徴を物語っています。
コブク(거북)とは亀のことで、コブク湯は日本語で亀の湯となるでしょうか。RC造の建物で、スラリと伸びる煙突には銭湯の名前が書かれています。受付が建物入り口すぐにあり、そこでお金を払います。女湯が1F、男湯が2Fという構造です。
中に入ってみると、日本の銭湯とあまり変わらない脱衣所が広がっています。浴室内は石造りの浴槽が空間の中心にあり、その周りをシャワー・カランが取り囲む形式。日本の関西風に近い形式です。
特筆すべきは、全自動あかすりマシーンです。回転するあかすりタオルパッドに、自分で背中を押し付けることであかすりができるものが備え付けられています。衝撃の体験です。その他に、浴槽内には日本と同じ電気風呂も設置されていました。
構造は日本と似通っているものの、異なるのはその営業時間です。釜山の銭湯の営業時間は軒並み早く、ここはなんと朝5時から夕方7時までの営業です。朝7時頃に行きましたが、先客のおじさまは2人だけと、かなり閑散としていました。
現地の銭湯通であるSitebrandingのモク氏曰く、こうした銭湯は若者が利用することも少なく、基本的には高齢者が中心のため、営業も厳しく、存続が東京の銭湯以上に危ぶまれているのだとか。銭湯が抱える課題も、都市によって異なるようです。(つづく)
金沢市内「銭湯山車巡行」を無事終了!
現在、金沢21世紀美術館にて開催中の「路上、お邪魔ですか?」展(4/25-9/6)では、「せんとうとまち」の関連団体による「銭湯山車巡行」が展示されています。その銭湯山車が展示室を飛び出し、去る5月31日(日)に金沢市内を巡行しました。
当日は、震災を契機に制作された七尾の「ちびでか山」とともに、市内で開催されていた「たいこ・みこし行列」や「原っぱ運動会」に参加しました。
また、巡行の合間には「路上の防災学 ― 水とまつりのレジリエンス」と題したトークイベントが開催され、銭湯や防災、水をキーワードに参加者と意見を交わしました。
巡行の様子は次号ニュースレターにて詳しく報告させていただきます。
JR新幹線にて配布中『西Navi』2026年6月号に銭湯山車巡行が掲載
上述の金沢21世紀美術館にて開催中の「路上、お邪魔ですか?」展(4/25-9/6)の紹介が、JR西日本が発行する情報誌『西Navi』2026年6月号にて紹介されています。展示物の一つとして、銭湯山車巡行の写真が大きく取り上げられています。
現在、主に山陽新幹線(新大阪〜博多間)および北陸新幹線(東京〜金沢〜敦賀間)の車内で全席配布されていますので、新幹線でお出かけの際には、ぜひご覧ください。
公式サイトからも電子版でご覧いただけます。
「北國新聞」に金沢での銭湯山車巡行の様子が紹介されました
5月31日(日)の金沢市内での銭湯山車巡行の様子が、地元紙『北國新聞』6月1日付に掲載されました。
翌週の金沢百万石まつりに先駆けて行われる、地元の子どもたちによる22基の「たいこ・みこし行列」に、「ちびでか山」とともに参加した様子や、金沢アートグミによる「原っぱ運動会」で、アーティストらとともに輪を作り、アートを「応援」する様子などが紹介されています。

















