今年も長屋で「初湯」に合わせた湯上がり企画、電気湯で能登の今を伝える展示が開催中|せんとうとまちニュースレター vol.38
2025年を迎えました。今年も1月2日から各所の銭湯では初湯が行われ、一年の始まりを熱い湯で心癒された方も多かったことでしょう。
昨年は元日に発生した令和6年能登半島地震にはじまり、夏の猛暑や各所の大雪など、様々な要因で生活環境が大きく変化していく年でもありました。
わたしたち「せんとうとまち」では、今年も変わらず、一つでも多くの銭湯と周辺のまちなみ、生活、ご近所付き合いを未来につないでいけるよう、身体も心もあたたまる活動を展開できたらと思います。皆様、本年もどうぞよろしくお願いいたします。皆さまのご支援を心よりお願い申し上げます。
今年最初のニュースレターでは、稲荷湯長屋での初湯の様子や、2年目を迎える東京都北区内の銭湯を巡る活動の展示の予告、また、墨田区の「電気湯」で行われている能登の今を伝える展示についてご紹介します。
稲荷湯長屋の新年:「初湯」の湯上がりに甘酒とおいなりさん
新年の1月2日は、多くの銭湯が早朝から銭湯を開く「初湯」という朝風呂を行います。
「せんとうとまち」では、滝野川稲荷湯の「初湯」に合わせて、稲荷湯長屋で湯上がりのお客さんに甘酒を無料で提供しました。
今年は長屋で毎週木曜日に出店する「かようびのおいなりさん」にもおいなりさんを振る舞っていただき、130人以上の方々に足を運んでいただきました。
ご近所のお子さんから60年以上稲荷湯に通い続ける方々まで様々な方に使っていただき、長屋が最も純粋に「まちの湯上がり処」になる日だと感じました。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
【開催予告】「わたしのせんとうとまちー北区の記憶あつめー展」vol.2 赤羽界隈
東京都北区と共に政策提案協働事業として展開している北区の銭湯全件を巡る「わたしのせんとうとまち」も3月の年度末で2年目を終えようとしています。今回は北区赤羽界隈を中心に8軒の銭湯を巡りました。
各銭湯で聞き取った貴重な地域の物語や銭湯の歴史などをまとめた「せんとうとまち新聞」は、昨年に引き続き随時発行し、北区内の銭湯や駅スタンド、北区役所や北区観光協会などでお手にとっていただけます。
また、2月〜3月にはその成果を一挙公開する展示やイベントも予定しています。期間中には、数少ない銭湯背景画絵師による富士山を描く制作現場の公開も検討中です。
より詳しい内容はニュースレターの次号にてご案内予定です。(せんとうとまちのSNSにも最新情報を上げていきます)
■「わたしのせんとうとまちー北区の記憶あつめー展」vol.2 赤羽界隈
①王子カルチャーロード・ギャラリー南面
2/20(木)- 3/4(火)最終日は14時まで
24時間 無料
②旧越後屋(岩の湯となり)
2/21(金)- 3/4(火)
15:00-20:00 水・木・金休み(21日はオープン)
2/21(金)に銭湯背景画絵師の公開制作、3/2(日)にトークイベントを検討中
※上記はあくまでも予定ですので、内容が変更される場合がございます。詳しくは次号のニュースレターか、「せんとうとまち」のSNS等で発信される最新情報をご確認ください。
墨田区「電気湯」で能登の今を伝える『あれから一年』展が開催中
墨田区・京島にある「電気湯」にて、2度の災害の爪痕が深く残る能登の現状を写真と文章で伝える『あれから一年』展が開催中です。
展示を企画した23歳の浅見風さんは2024年3月以降、都内から10回も被災地の珠洲に通い、さまざまなボランティア活動や発信を行いながら現地でつながった若者たちとともに「みききする能登」というチームを立ち上げ、今回の展示のために現地でインタビューや取材を重ねてきました。その多くを珠洲の銭湯で聞き取ったそうです。
2024年4月に、せんとうとまち理事のサムが浅見さんとともに珠洲にボランティアに行った際に、「海浜あみだ湯」にお邪魔する機会がありました。あみだ湯は震災で設備などの被害を受けたものの、築35年の建物と貴重な井戸は無事でした。
珠洲市でNPOを運営している新谷健太さんは2023年5月に銭湯の運営を任されたばかり。街中で断水が発生している中で、わずか3週間で営業再開を果たし、住民や救助に来ていた方々に無償でお風呂を提供することが全国で取り上げられ、災害時の銭湯の重要性を発信しています。
4月に訪れた頃には、瓦礫がまだ街中に広がっており、解体現場の廃材を燃料に回しながら湯を沸かし続けていました。水道の復旧工事が進み、震災直後に一日数百人来ていた利用者が減ってきましたが、今も銭湯が地域住民の大切な心の拠り所になっているようです。
一年を通して能登の支援にくる若者やよそ者の受け皿になっており、将来が不透明ななか、復興に向けた話し合いの場としてこれからのまちを考える出発点にもなっています。
『あれから一年』展で展示されている現地の方々の経験や想いの多くが、この海浜あみだ湯の脱衣所で、コーヒーを淹れながらロビーの湯上がり処で聞き取ったと浅見さんは言います。電気湯での展示では、湯船の中でインタビューが読めるようになっています。
東京と珠洲の同じ「銭湯」という日常の空間をつなぎ、全く違う日常に触れられる展示は今月31日まで。電気湯の湯船にいつもよりもゆっくり浸かりながら、そんなに遠くない珠洲の銭湯からの声に耳を傾けてみてください。
【会場】
電気湯(東京都墨田区京島3-10-10)曳舟駅 徒歩8分
【期間】
2025年1月5日(日)〜1月31日(金)
【営業時間】
15:00〜24:00(最終受付 23:30)土曜定休
【入浴料】
大人¥550/小学生¥200/乳幼児¥100/サウナ¥400/貸しタオル¥200/タトゥーOK ※ご入浴されるお客様のみご覧いただけます。
企画:みききする能登
協力:電気湯
▼京島の電気湯で能登「あれから1年」展 被災地の日常を墨田から発信(すみだ経済新聞)
https://sumida.keizai.biz/headline/1014/
UNESCOアジア太平洋文化遺産保全賞の最優秀賞受賞を記念して「せんとうとまち」オリジナル手ぬぐいの新色がでました!
稲荷湯長屋のオープン以来、青色で販売していたせんとうとまちのオリジナル手ぬぐい。この度、昨年12月に受賞が決まりましたUNESCOアジア太平洋文化遺産保全賞、最優秀賞を記念して、おめでたいピンク色の新色を制作いたしました。青色とはまた違ったポップな色合いです。
手拭いの売り上げは「せんとうとまち」の銭湯支援活動のための費用に充てさせていただきます。
稲荷湯長屋にて1300円でご購入いただけます。ぜひこの度の記念に、お手にとって、お風呂のお供や日常使いとしてご活用ください。
『サンデー毎日』2024年12月29日号誌面内の記事にて「せんとうとまち」の活動が紹介されました
「再生プロジェクトが語る銭湯の未来」というタイトルで、代表理事の栗生が取材を受けた記事が掲載されました。
銭湯を取り巻く現状から、海外の財団から支援を受けた「せんとうとまち」による稲荷湯修復再生プロジェクトの紹介を丁寧にまとめていただいています。
銭湯に国外から評価や支援を頂く一方で、日本国内ではまだまだこのような地域の文化的な資源への理解や手を差し伸べる動きがないことへの問題提起にもつながる内容になっています。少し前の号となりますが、機会がございましたらぜひご覧ください。