第二回 稲荷湯長屋オープンデイ開催! 長屋完成まであともう少し|せんとうとまちニュースレター vol.7
最大10連休になるというこのゴールデンウィーク。みなさんはいかがお過ごしでしょうか?
久しぶりの遠出や旅行をされている人もいるかもしれません。私たちは、このゴールデンウィークも長屋再生プロジェクトに取りかかっています。また、稲荷湯以外の銭湯の保存活動など活動の幅が広がってきています。
近年、文化財となった建物などを保全・利活用する「ヘリテージマネジメント」という言葉が登場してきています。地域の歴史文化遺産の保全・活用によってその地域のまちづくりに活かす方法で、それに携わる人を「ヘリテージマネージャー」と呼ぶそうです。
私たちは、一つでも多くの銭湯を文化財としながら、地域の歴史や文化を継ぐものとしての銭湯という価値に着目し活動していますが、まさしく、このヘリテージマネジメントという言葉とリンクしてくるものだと考えています。こうした考え方を研究し、実践へと活かす活動も行えたらと、この連休中に考えています。
ニュースレターでは、第二回目となった北区・稲荷湯長屋のオープンデイを中心に、大黒湯の一部移転保存のクラウドファンディングなど、銭湯ニュースをご紹介します。
稲荷湯長屋再生中 第二回オープンデイを開催
滝野川の稲荷湯の修繕及び稲荷湯のおとなりに併設する長屋の再生プロジェクトでは、工事現場を公開する試みとして3月の第一回に引き続き、4月の中旬に第二回目のオープンデイを開催しました。一日のみの開催でしたが、ご近所の方を中心に100名近い方々が見学に訪れました。
長屋では、目下、貴重な伝統工法による土壁の仕上げが進んでいます。仕上げの途中段階ということもあり、改修前の壁の状況から、荒々しい下地、下地が乾いた時点で行う中塗り、そして完成した状態の仕上げ……と、お越しいただいた方々に一通りの土壁再生の工程をご紹介することができました。
今回のプロジェクトでは、稲荷湯以上に古く、歴史ある長屋の佇まいを極力活かし、元の部材も最大限に活用しています。
かつて、地域に多く存在していた長屋の空間はさまざまな記憶や感覚を刺激するようで、ご近所の方からは「空間浴」という感想もいただきました。
中には、稲荷湯建設の際に関わった大工のご親戚の方や、かつて長屋を訪れたことがある方などもいらっしゃり、当時の貴重なエピソードもうかがうことができました。
オープンデイを通して、マルシェやお教室など様々な活用アイデアや運用のご協力のお声もいただき、より一層オープンが楽しみになってきています。
引き続き、このニュースレターをご覧になっている方で、長屋を活用してこんな取り組みをしたい、と考えている方がいらっしゃれば、ぜひご連絡ください。
■メディア掲載
長屋再生プロジェクトについて、東京新聞に取材いただきました
稲荷湯の長屋再生プロジェクトについて、東京新聞に取材いただきました。有形登録文化財のことや、WMFの支援のことにも触れられています。メディアの方々にも、長屋の完成に注目いただいています。
▼銭湯と地域をつなぐ場に 北区・滝野川「稲荷湯」隣の長屋 6月末開業目指す(東京新聞)
https://www.tokyo-np.co.jp/amp/article/173379
大学生からのリサーチや取材もいただいています
上智大学や東京女子大学の学生さんから、取材やリサーチ依頼をいただいています。せんとうとまちの活動全般についてや、稲荷湯の長屋再生プロジェクトについてなど、幅広く質問をいただいています。
地域に点在する公衆浴場としての銭湯という存在が、若い人たちにどう映っているのか、そして、これからの地域社会における銭湯の役割やあり方について、大学生たちの間でも、銭湯に注目する人が増えてきた印象があります。リサーチだけでなく、ぜひ、近所にある銭湯に足を運んでみてください。
■銭湯ニュース
ここでは、銭湯に関するさまざまな記事やニュースをご紹介いたします。
閉店した大黒湯を保存するクラウドファンディングが開始
足立区にあり、90年以上営業を続けてきた「大黒湯」ですが、21年6月30日に閉店しました。
しかし、地域の文化として愛されていた大黒湯や、銭湯文化そのものを残したいと考えている地元の方々が立ち上がり、大黒湯の建物保存に乗り出し、地元の「安養院」というお寺への一部移築保存というプロジェクトが実現しました。
せんとうとまちとしても、代表の栗生が応援コメントを寄せさせていただきました。90年以上親しまれてきた宮造り銭湯の代表格である「大黒湯」の保存活動、ぜひ応援のほどよろしくお願いいたします。
▼日本の銭湯文化を遺したい!唐破風屋根保存プロジェクト!
https://camp-fire.jp/projects/view/565406
【つくる×継ぐ】をテーマにしたレクチャーに登壇(5月13日)
東京大学建築生産マネジメント寄付講座 連続レクチャー「つくるとは、」に、せんとうとまち代表の栗生が登壇します。【つくる×継ぐ】をテーマに、さまざまな「継ぐ」について考えるレクチャーとなっています。
参加費は無料、オンラインもしくは現地参加(もう一人のゲストである、やまだのりこさんがいらっしゃる、石川県金沢市の会場)が可能です。
▼[5/13金]連続講義「つくるとは、」第8回開催のお知らせ(建築生産マネジメント寄付講座)
https://www.kobe-np.co.jp/news/kobe/202203/0015137864.shtml