「わたしのせんとうとまち」3年目に突入、稲荷湯長屋再生プロジェクトを支援いただいたWMF関係者が来訪|せんとうとまちニュースレター vol.41
年度が明け、春の陽気とともに新たな一年のはじまりとなりました。
「せんとうとまち」が北区とともに取り組んでいる政策提案協働事業も、今年度で3年目を迎えます。これまで滝野川界隈、赤羽界隈の銭湯を調査し、最終年度である今年は王子界隈を中心とした銭湯の聞き取りや地域の魅力ある商店などを取材してまいります。地域の情報をお持ちの方、王子界隈にお住まいの方、ぜひともイベントや企画にご参加ください。
3月末には、「稲荷湯修復再生プロジェクト」を支援いただいたWMFの方々に来訪いただき、これまでのプロジェクトの過程や、稲荷湯長屋がオープンしてから現在までの様子について意見交換を交わしました。また、赤羽文化センターでのレクチャーでは、地域のみなさんとともに銭湯のあるまちなみについて意見を交わす機会もいただきました。
引き続き銭湯のあるまちなみの魅力を発信し、広めていく活動に力を注いでまいります。皆さまのご支援を心よりお願い申し上げます。
ワールド・モニュメント財団 「稲荷湯修復再生プロジェクト」視察報告
3月末、ニューヨークのワールド・モニュメント財団(以下、WMF)から、理事長・ベネディクト・ド・モンロール氏、日本代表の稲垣光彦氏ら4名の方々が滝野川稲荷湯および稲荷湯長屋の視察に来訪されました。
施設内部のご案内とともに、現状の報告やWMFより支援いただいたプロジェクトを受けて広がる活動の紹介、今後の展開に関する意見交換などを行いました。
WMFは、震災復興を含め日本国内のさまざまな建物や組織の支援をしており、今回は他の取り組みの視察も多く予定されていました。そのため時間は限られていましたが、短い滞在中にも熱心に視察される様子が印象的でした。日本の銭湯という場が持つ可能性や価値が少なからず伝わったことと思います。
2020年のWMFウォッチリストに選定いただいてから5年。この間に財団を通して支援を受け、稲荷湯の修復耐震化、稲荷湯長屋の再生が行われ、長屋に関しては“地域の湯上り処“としての運用も始まっています。
長いようで短かった5年間。先日はユネスコの大変名誉ある賞までいただき、当初から想像もつかなかった展開となっていますが、今後とも初心を忘れず真摯に活動に取り組んでいきたいと思っています。
赤羽文化センター区民講座「地域の魅力発見!銭湯とまちものがたり-赤羽根界隈-」開催報告
北区政策提案協働事業の2年目が終了し、赤羽界隈の銭湯7軒の「せんとうとまち新聞」が配布中です。
この活動を受け、北区の赤羽文化センターからお声がけいただき、活動の紹介及び赤羽の銭湯の紹介をするレクチャーに登壇いたしました。30代から90代の多くの方々が熱心に話を聞いてくださり、最後には「北区は銭湯をもっと守っていくべきだ!」という参加者の方からの力強いコメントもありました。
後日いただいたアンケートからも「せんとうとまち新聞を読んで銭湯に行ってみたい」「日本の素晴らしい文化なので、ぜひ小学校などの授業でとりあげてほしい」「銭湯経営の方々の街や仕事を愛する思いがすごく感じられた」など、前向きで励まされるコメントをたくさんいただきました。
早いもので北区政策提案事業も今年度が最終年度です。自治体の協力体制や地域の方々とのネットワークもじょじょに深まり、活動としても盛り上がりつつあります。この一連の活動が実質的な支援につながるよう模索できたらと思います。
「稲荷湯長屋」のヴァーチャル・アーカイブのお披露目イベントが開催されました
東京大学ヒューマニティーズセンター(以下、HMC)主催オープンセンター【第132回オープンセミナー】「まちおこしのためのVR: 稲荷湯長屋ヴァーチャル・アーカイブとコンパニオン・サイトのご紹介」が3月28日(金)に開催されました。
セミナーでは、HMC主導で制作された「稲荷湯長屋」修復再生プロジェクトのヴァーチャル・アーカイブのお披露目と共に、制作に携わった専門家たちによる各担当箇所の説明がなされました。
稲荷湯長屋のVR空間にて歩き回るアバターとともに、修復再生工事の過程を写真で見たり、建材の新旧を確認したりなど、ヴァーチャル・アーカイブ(以下、VA)の使い方を実演する場面もありました。
また、当日夕方からはCluster(今回使用したVRのアプリケーション)上の稲荷湯長屋VR空間にてイベントも開催。多くの参加者がそれぞれのアバターを介して、ヴァーチャル・アーカイブを体験しました。
今回の貴重な成果は、今後もさまざまな場でお披露目をしていく予定です。ご紹介できる機会がありましたら、ぜひお声がけください。(英語も対応しています)
以下、主宰した東京大学大学院人文社会系研究科 中村雄祐教授のコメントの一部抜粋(コンパニオン・サイトより)
稲荷湯修復再生VAは、日本の伝統的な建築物の修復を起点に「印刷技術とデジタル技術をどのように組み合わせて地域生態系の再生と活性化を支援するか」という課題に取り組むアクションリサーチプロジェクトです。
今回、このVA作成の出発点となったのは、せんとうとまちが2019年から取り組んできた長屋の修復再生工事の膨大な数の写真と記録です。その全容は、修復再生工事の詳細はもちろん稲荷湯や滝野川界隈の歴史も盛り込まれた「稲荷湯修復再生プロジェクト」報告書(日英、全編カラー95ページ、2024年6月発行)に記されています。
私たちは、報告書と合わせて、工事の写真や解説を配置したVR空間を構築できれば、修復再生の過程をより多くの人々が共有し、さらには同じような志を持つ人々にとっても貴重な示唆を与えてくれるヴァーチャル・アーカイブ(VA)を作れるのではないか、と考えました。というのも、VRの商用サービスはすでに幅広く展開しており、専門知識が乏しいエンドユーザーでも様々なVRのアイデアを試せるような環境が整いつつあるからです。
・「稲荷湯長屋」のヴァーチャル・アーカイブ
既にCluster上にて公開されており、登録すればどなたでも体験することが可能です。
https://cluster.mu/w/c0f4a50a-0950-450f-9cd1-6af97f434fc2
・コンパニオン・サイト
今回のプロジェクトの背景や製作者たちによる詳細説明を掲載しています。https://hmc.u-tokyo.ac.jp/ja/commons/inariyu-virtual-archive/
・HMCのSNS
X(旧Twitter): https://x.com/hmc_utokyo/status/1897128686677057658
Facebook: https://www.facebook.com/share/p/18eihs6KZE/?mibextid=wwXIfr
5月10日(土)「銭湯山車巡行」が「神田祭」に登場します!
「せんとうとまち」の関連団体である「文京建築会ユース」が廃業した銭湯の物品によって作り上げ、2020年より都内を巡行している銭湯山車。前回に続き、江戸三大祭の一つ「神田祭」の附け祭(つけまつり)に公式参加します。
30万人を超えると言われている観客の中を、今年は60人ほどで銭湯山車を曳き、銭湯文化のアピールをして参ります。今年も「チンドン!あづまや」さんによる「いい湯だな〜♪」の生演奏に合わせて、踊ったり歌ったり、大いに盛り上がる巡行を予定しています。水天宮の有馬小学校から15時ごろに出発し、日本橋三越前中央通りを闊歩して、秋葉原を通り18時頃に神田明神に宮入りします。
煙突からの煙や、ペンキ絵の富士山があしらわれた大型ノボリなど見どころ満載で、普段の「銭湯山車巡行」から格段に賑やかです。今年は「銭湯山車」もより派手に改造されて登場予定です。ぜひお見逃しなく。
・前回の「神田祭」参加時の様子
https://www.1010.or.jp/mag-topic-230823/
・東京新聞に掲載された記事
https://www.tokyo-np.co.jp/article/249810
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